摂食障害治療の現場から(3)
自分の力で食べるために
階の食堂にやってきました。
「Gさんお元気ですか?」
「・・・・・」Gさんは黙ったままこちらを見てます。
Gさんは以前、摂食治療をやりました。脳梗塞の後遺症で、麻痺があり、しゃべることもできません。寝たきりの生活で、食事は鼻からのチュ−ブで流動食を入れてました。
摂食治療を続け、少しずつ口から食事ができるようになり、とうとうチュ−ブをはずすことができました。

かし、その後、何回か発熱をおこし、誤嚥性の肺炎が疑われました。
食事中のレントゲンをとりました。残念ながら、食べ物が気管の入り口に残ってることがわかりました。寝てる間に残った食べ物が少しずつ肺におちて肺炎をおこしてしまったのです。担当の医師と相談し、口からの食事はあきらめました。

食治療はいつもうまくいくわけではありません。
Gさんは摂食治療で口から食べられるようになったために、誤嚥性肺炎をおこしてしまいました。はたして、摂食治療は必要だったのだろうか?
またチュ−ブを入れられたGさん。最後の機能、食べることを失ってしまい、1日中、寝てるだけです。まるで植物人間のようです。
わたしは、口で食べてたGさんの方が幸せだったと思いたいです。
<2002.2.15>

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