なんでもない歯を削られた?
Mさんのインフォームド・コンセント

雨で毎日が雨、気分も雨。そんな時Mさんはやって来ました。
「歯が痛くなってきたんで、しょうがなく来たけど、俺はむかしから医者と歯医者がだいっ嫌いなんだ。」と話すMさん。
「そうですか。」初対面なのにいきなり嫌いと言われ、喧嘩でも売られてる気分です。(嫌いなら、来なければいいのに。)と思いながら、気分を持ち直してどういう状態か話をすすめていきます。

うやらむし歯になってるのはだいぶ前からわかっていたけど、痛みがなければ嫌いな歯医者には行きたくないということでしょう。でも口の中を見るとなおしたところがあります。
「前に歯医者に行って、なおしてますね。」
「歯医者に行ったら、なんでもない歯を削られたんだ。」と怒りだすMさん。
「なんでもない歯を削ることはないと思いますが…」
「とにかくなんでもない歯を削られたんだ。」と言い張るMさん。

んでもない歯を削る歯医者がいるだろうか?もし、仮になんでもない歯を削られそうになったら、大声でも出せば削られないですんだはずです。しっかり削って金属が詰められてる。どういう訳だ?
きっとその時は「むし歯がありますから削りますよ。」と簡単な説明があったのに心に残らず、なんでもない歯が削られたと思い込んでしまってるようです。

者さんにわかりやすく心に残るよう歯の話をするのはとても難しい。
Mさんの歯のレントゲンを撮り、口の中をカメラで撮り画像を見ながら説明しました。絵や模型なども見せました。そして、必要な治療の説明とパンフレットを渡しました。はたしてMさんの心に通じただろうか?
<2001.6.13>

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