小学校の歯科検診で
歯医者に行ってほしいのに…
日は小学校の歯科検診の日です。保健室はわいわいがやがや。先生が「静かにしなさい!」。自分の番がくると緊張した顔でドキドキハラハラの一瞬です。むし歯がなければ天国、あれば地獄行き?

くんのクラスになりました。去年、翼くんはむし歯がたくさんありました。おととしもありました。実は翼くんは歯医者に行ったことがないんです。毎年少しずつむし歯は増えつづけ、永久歯までむし歯になりかけていました。いつもはすごい元気な翼くん、でもきょうは一年で一番きらいな日、まったく元気がありません。

うとう翼くんの番になりました。
「は〜い、お口をあいてください。」なかなか口を開けようとしません。
「もっとあいてください。」少ししか開いてくれません。
「しっかりあいてください。」なんとか中が見える。
(う〜ん、やっぱり永久歯までしっかりむし歯になってしまっている。なんで歯医者にいかないのだろう? どうしてなんだ。)と心の中で叫んでしまった。

「このままだと噛むことができなくなっちゃうよ。歯医者に行ってなおそうよ。」と言っても、翼くんは走って行ってしまった。翼くんの前ではあまりの無力であった。帰り道、初夏の日差しがまぶしく汗がでてくる。翼くんに何もできない自分にいらだち、学校歯科医はどこまでできるのかと悩むDr.島田であった。(つづく)
<2000.5.10>

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