今度は系列の病院を持っている老健施設にアプローチした。施設長に話をしたら興味を持ってもらえた。こういった系列の病院を持っている老健施設はほとんどが民営である。この調子なら口腔ケア作戦は、うまくゆくのではないかと思った。
その後のある日、この病院の経営者とボランティア団体の地区大会で会った。これ幸いと、口腔ケアの件で話をした。経営者は、「お酒の席の話ですが・・」という断り条件つきで、次のような話をしてくれた。 「先生、介護保険って病院にとってどんな意義があるかご存知ですか?」 「聞くところによると、これによって病院の収益が大幅に悪化してしまったそうですね。まるで病院のリストラのようだというのを聞いたことがありますが・・」 「先生はよくご存知で・・」 この言葉で全てがわかった。つまり、介護保険施設で肺炎や敗血症を起こすような患者さまは、病院の大切な収入源となっているのである。しかも、急性疾患で平均一ヶ月程度の入退院を繰り返す患者さまがいる介護保険施設はありがたい存在なのである。 こうしたグループでは系列に介護支援センターを持っているので、介護保険施設では、入所者が入院して施設に空きが出来た場合、ショートステイなどに効率よく振り分けて空きを埋めることができる。場合によっては入院している患者さまをショートステイに振り分けているといううわさも聞く。特にグループホームでは、このヘンの融通がつきやすいといううわさも聞く。 こうなると口腔ケアの出番がないどころか、施設で行う口腔ケアがかえって経営に害になることになる。他の介護施設では、摂食障害や嚥下性肺炎などをくりかえしてQOLが低下すると、本人・家族を始め介護をする人たちが困るという点から口腔ケアがスタートした。ところが系列の病院(特に精神科など)を持つグループホームでは、こうした患者さまは、病院の大きな収入源になっているので、私の行う口腔ケア活動は、経営にとって邪魔であることは火を見るより明らかなのである。 しかもこのような施設には、形ばかりの口腔ケアをする歯科医師がいる。こういった歯科医師の存在を知ると、私は限りなく情けない気がしてきて仕方がないのである。 |
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| <2007.11.7> |
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