僻地に生きる歯科医
たかが電話!されども電話!
近インターネットで歯科診療所の全国人気ランキングのサイトがある。ここでは投稿者のオススメ文章のほかにクレーム文章を分けて掲載している。このクレーム文章を見ると、受付の応対、特に電話の応対に関するクレームが多い。クレームに占める電話の割合は、歯科医師の技術に関するクレームよりはるかに多い。

の診療所が電話を導入してからもう60年以上もたつ。私が子供の頃は、電話のない医療機関もあったし、警察の駐在所にも電話がなかったこともあった。実際に電話で診療予約が出来るようになったのは、ここ30年くらいである。当時は電話で予約を入れると、「電話での予約は受け付けていません。」という歯科診療所も少なくなかった。

科の世界ではごく当たり前の診療予約も、医科の世界ではまだまだ珍しい。理由は簡単で、このようなサービスをしなくても潤沢に患者さまがいらっしゃるからで、最近都市部などでは予約制の医科も散見するが、それらはほとんどが新規開業である。この先医科の先生も我々歯科医師が味わった電話に関する苦悩?を味わうかと思えば、かわいそうな感じもするが、時代の流れといえばそれまでである。

話応対で一番苦労するのが、新人教育である。「私用の電話では大きな声で話していても、イザ患者さまからの電話がくると蚊の泣くような声になってしまう」「マニュアルから外れた質問には臨機応変に柔軟な応対が出来ない」「敬語がメチャクチャ」など、枚挙に暇がない。それでも私の診療所では、6ヶ月にもわたる新人教育の成果で、なんとかそれなりにクリアーできた。

近、患者さまを装って院長を呼び出そうとしたり、会員などの勧誘電話がけっこうかかってくる。個人名を名乗っているので患者さまとは区別がつきにくい。特に「先生に相談があるのですが」という電話には要注意だ。本当に用事がある場合もあるが、ほとんどが勧誘である。私はスタッフには「佐藤さんでも何処の佐藤さんか所属を聞くように!」と指示しているが、中には「先生に言ってもらえばわかります。」という輩もいる。こういった困った面々の扱いは、ベテランスタッフならわけのないことだが、新人には勇気がいる行動だそうである。私はこのような場合、相談専用の電話番号を紹介し、この相談専用の電話を非通知に設定しておくのである。これなら勧誘の電話を99%シャットアウトできる。

者さまの電話もここ10年くらいで大きく変化してきた。まず一番変ったと思うのは「相手が出なければ何回までコールするか?」という点である。以前はほとんどが10コールであった。ところが最近では5コール程度で、休日や夜間・深夜などでは3コールで切れてしまうケースが多い。特に深夜などではイタズラ電話でないかと思い、電話番号を確認すると非通知でないケースが多い。

た、イタズラ電話もけっこう多い。おもしろいことに、出るとすぐ切れるタイプは私の顔見知りからのイタズラが多い。それに対して無言やブツブツしゃべっているタイプは、私の顔見知りでないケースが多い。でもいずれも非通知であることに変りはない。どうして非通知なのに電話番号がわかるかについてはイロイロな問題があるので省略するが、それらのイタズラ電話のなかに同業者がいたりするから恐れ入る。でもイタズラ電話で一番困るのが、私の診療所に設置してあるピンク電話からかける患者さまのイタズラ電話である。先日、警察からの照会がありビックリした。幸い、通話記録があり通話時間から犯人がわかった。ある日、イタズラ電話をかけていたところを押さえ別室に呼び、イタズラ電話をかけないようにすることと先方に謝罪するようにと促したことがあった。

タズラ電話ではないが困るのが、音声電話回線にFAXをかけられた場合である。特に自動着信の場合は困る。なかにはファクス情報サービスを悪用して、わざと音声電話にかけるように設定する人もいるそうだ。

の診療所では診療時間と電話受付時間を分けて表示している。スタッフの発案で「診療を準備している時間でも電話の応対は可能なので、少しでも患者さまへのサービスができる」というものであった。ところが一部の患者さまはそのようにはとらえなかった。「あそこの歯医者は診療時間より前に電話を受けてくれる。」と解釈されてしまった。そのため、次第に少しずつ電話がかかってくる時間が早くなり、朝の6時・7時台にもかかってくるようになった。電話に出るからさらに早い時間にもかかってくる。夜も同じようなことがいえる。こちらが電話にでることによって、どんどん遅い時間でも平気で電話がかかってくる。

ービス業とは実にストレスのたまるものである。
<2006.6.7>

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