僻地に生きる歯科医
小さな政府ってなんだ?〜行政改革で弱者切捨て放題! その後始末は開業医へ!〜
近「小さな政府」という言葉がもてはやされている。地方では三位一体の改革が声高に叫ばれている。その影響か町村合併も盛んだ。「三位一体」とはもともとキリスト教の教義の1つで「父・子・精霊」が不可分であるというローマンカトリックの中心的な考え方をさしている(筆者はミッションスクール出身です)。偉そうにいっているが実は何のことだかサッパリわからず、神父が何回も言うので覚えてしまったにしかすぎないのだが・・・。

然「小さな政府」とは、簡単に言うと「政府の関与を出来るだけ小さくして民間でできることは民間にお願いしましょう」と私は捉えている。だから「福祉は切り捨てましょう」というのが、次に出てくる言葉であろうとも思っている。

近、障害者の子供の受診がよくある。当地では、昨年までは、初診時に510円を支払えばあとは一部負担金がなかった。ところが収入に応じて、510円で済む患者さまもいれば1割負担の患者さまもいるというようになった。この収入の区分は、昨年の収入に応じて決めるらしい。私の診療所では、こういった障害のある方の家庭の収入は、一般的に不安定である。受診の度に保険証が変わるのはごく当たり前で、5年以上同じ保険証で受診される方はほとんどいらっしゃらない。それどころか同じ保険証で受診されている方も、ほとんどが国保で社保をもらえない中小・零細企業か不定期な雇用に頼っているのが現状である。こうなると当然のことながら収入の安定性は乏しく、三ヶ月間雇用保険で生活している方が、1割負担という例もあった。

た事実上離婚している方でパートなどでやっと暮らしているにもかかわらず、この1割負担がのしかかってきた例があった。最近1人親家庭の認定で、「離婚をしていないが実質的な離婚状態も認定する」ようになってきたが、なぜか「重度心身障害者」の場合は想定していないそうだ。

ういった厳しい生活の中で、「効率的な自治体を作りましょう」ということで町村合併が進められた。ところがフタを開けてみると、ビックリすることの連続である。まず合併をすると新しい首長の選挙がある。ところが議会は、在任特例というわけの分からない制度で次の選挙まで既得権が守られる。中には合併した市議会の議員数が県議会の議員数を上回った所まで出てきた。なぜこのようになるかといえば、理由は簡単で、首長は止むに止まれぬ事情で合併を進めるが、この合併話を壊すのはほとんどの自治体の場合、議会である。だから議会対策をしなければ合併話は決して進まない。そして「お手盛り」が必要になってくる。

「お手盛り」といえば役所の労働組合も負けていない。実は「首長」といえばみなさんは「市民の代表」と思っていると思う。ところが役所の労働組合は、「組合のペット」と思っている人が非常に多い。だから役所でリストラを進めると、組合内部では「飼い犬に手をかまれた」と思う人が多いそうだ。ある自治体では首長が辞職し、選挙で市民の裁定を得たいとするところも出てきた。現に最近の合併では、合併直前に臨時職員を特に理由がないのに正職員に大量にすることが大流行だ。こうすればクレームが出ても、「これは前の自治体の人事ですので関係がありません。」と逃げやすいし、合併のバカ騒ぎでごまかすことも簡単だ。

うしたなか、福祉が切り捨てられてゆく。それも私流にいえば「選挙権がない人から順番に」といった感じがしてならない。
<2006.5.10>

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