僻地に生きる歯科医
医療費不正請求
さん医療費の不正請求といえば何を想像するだろうか?これは私の診療所での医療費の不正請求の話である。不正請求といっても診療報酬の不正請求の話ではない。中学生や高校生が、親に実際の請求金額より高い金額を言って差額をポケットに入れることである。これを読んでいらっしゃる方のなかにも、経験がある方もいらっしゃるかもしれない。この不正請求額は一昔前は数百円程度(せいぜいパンやコーラを買ったりラーメンを食べる程度)であったが、ここ数年は金額が跳ね上がり、1件あたり平均して1,000円程度、最高額は10万円くらいになっている。

かし、最近の保護者の方は医療費の領収書をしっかりタメていることが多いので、当然のことながら後で領収書を求めたり、さらに保険者からの通知の際に明らかになる。この時、事情を説明しても、ほとんどの保護者は「先生方は子供だと思ってごまかしている。」と主張される。保護者の方々は、今どきの中学生や高校生をダマすには、下手な大人相手より難しいことをご存知ないのであろうか?

こで私の診療所では、名刺サイズの「一部負担金のお知らせ」を中高生には渡すことにしている。始めは本人の氏名を書く欄がなかったので、一部の生徒さんの間でこのお知らせが融通されたため名前を書く欄を作った。そうしたら今度は「冠が入ったので冠の代金は別だって」と言って相当金額を騙し取った?例が出た。その時には親が、この「一部負担金のお知らせ」を持ってきてくれた。すると裏面に「冠の代金○○円は別に頂きます。」と大書してあった。そこで補綴物の一部負担金の欄を別につくった。これで不正請求は減ったが、今度は毎回の「一部負担金のお知らせ」と最後に貰う領収書をいっしょに医療費控除に申請する保護者が出てきた。しかも「一部負担金のお知らせ」の一部を抜き取り、「一部負担金のお知らせ」の合計と最後に貰う領収書の金額が一致しないようにあらかじめ工作して出していた。これは官庁の指摘でわかった。そこで今度は、「一部負担金のお知らせ」の最後に「本証は領収書ではございません」と書いた。

のようなイタチごっこをしている間に、中学生や高校生の患者さまが激減してしまった。激減した理由を、もう皆さんはご推察していることでしょう。

の話には後日談がある。実はうかつにもこのことを同業者のある会で話してしまったのである。それを聞いた先生が、表は予約券ウラは領収書なるものを作った。なんでも予約券としてのみに使っているそうだ。これならもし不正に使われても「現在ウチでは領収書として使っていないんです。」と簡単に逃げられる。そういえばこの様式をタクシーカードに使い乗客が自由に何枚でもとれるようにしているタクシー会社が札幌にあった。

切な医療費を適切に支払って頂きたいと思って始めたこの企画であったが中学生・高校生の激減という形で決着がついた。そういえば歴史の教科書に次のような歌が書かれていたのを思い出した。やはり歴史は繰り返すのである。

「白河の清き流れに魚住まず、元の田沼の泥ぞ恋しき」
<2005.11.2>

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