僻地に生きる歯科医
筆記体が書けない・ローマ字が読めない・コンピュータがダメ!〜学校教育のすきまに落ちこぼれる生徒たちの奇妙な連鎖〜
近の新人たちで、アルファベットの筆記体が書けない生徒さんが増えてきた。増えてきたというより入社試験などでは、ほとんどの生徒さんがA〜Zまで大文字・小文字まで完璧に書けた生徒さんはいない。高校の先生に言わせると、筆記体は「必修」から「選択」になったので勉強する時間が短くなってしまったからだそうだ。そして意外なことだが、一部の先生の中には「必修」と「選択」を勘違いして、「選択」を教えることをパスする先生も出てきたそうだ。まるで看護学校の口腔衛生のように、簡単に切って捨てられるのである。聞けば「ローマ字」もこれとほぼ同じ運命をたどっているそうだ。歯科ではカルテを筆記体で書くし、ローマ字がわからなければ色々と困ることがある。しかたがなく入社してからローマ字や筆記体を教えたこともあった。

ころが先日、あるコンピュータ関連雑誌のコラムに「ローマ字入力は早いうちに覚えておこう」というテーマで、小中学校のパソコン授業の非常勤講師が意見を述べていた。これによると小学校低学年では「かな」入力が多いが、パソコンを扱っているとローマ字入力をできないとデメリットが多い。ローマ字は小学校4年生で習うので、4年生まではかな入力、4年生以上はローマ字入力でというのは常識だ。ところがローマ字が選択科目になったため、以前より習得が浅くても見切り発車するのがごくあたりまえになってしまったそうだ。それどころか一部の先生のなかには、勝手にカットする先生もいるそうだ。

方中学校では、「ローマ字入力ができる」という前提の下で授業をすることが多い。理由は簡単で、教える先生が「かな入力」ができないことが多いからだ。しかもゆとり教育の弊害で授業時間数が少なく、とても「かな入力」と「ローマ字入力」というダブルスタンダードは許してもらえない。そのため、ローマ字入力ができなかったり入力が遅い生徒さんは、容赦なく減点されてしまうそうだ。こういった「規格にあわない生徒」の切捨ては、「左利きの生徒」「多岐選択に向かない生徒」などの例などに見られるように、日本の教育の場では長年の伝統があり、これが落ちこぼれの原因となるには想像に難くない。

うして高校へ行くと、学校によってパソコンへの取組みが全く違っている。ほんとうに最小限しかパソコンの授業をしない学校もあれば、生徒全員にアドレスを与えてこれを通じて連絡をしている学校もある。でも1人に1台あればいいというわけではない。ある学校では1人に1台パソコンがあるものの、よく見たらPC9801であったなどと笑えないことがまかり通っていたこともあった。

うして大学へ行くと大学ではまた別なハードルが待っている。私の大学では1年生を対象にしたパソコンの授業をヤメてしまった。なんでも小中高校でのパソコン教育が充実してきたので、大学での教育の必然性がなくなったそうだかららしい。確かに数字の上では小・中・高校の時間数は増えている。しかし有機的な結合を欠いているため、大量の落伍者を出している。これは英語教育で十分実証済みであるがこれが、経験として生かされていない。

学校・中学校・高等学校・大学教育の場で「筆記体が書けない・ローマ字が読めない・コンピュータがダメ!」という児童・生徒・学生は、同じ根っこの原因があるような気がしてならないのは単に私だけだろうか?
<2005.7.6>

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