昨年秋、大型の台風が北海道を通過していった。本州の方にとっては意外なことかもしれないが、北海道は台風の被害は非常に少ない地域である。また北海道は本州の半分くらいの大きさがあるので、この中でも台風に襲われやすい地域と台風がめったに直撃しない地域がある。私が住んでいる町は後者の方で、ここ50年くらい台風らしい台風に直撃を喰らっていない。
朝7時ころからは、風向きが変わり風が強くなってきた。駐車場のコーンポストを中に入れ、ドアーを閉めようとした瞬間、突風に煽られてドアーが壁に激しく打ちつけられた。幸いガラスは割れなかったが、傷がついてしまった。さっそくドアーに「強風注意」の札を貼る。 朝8時を過ぎるころには雨も降っていた。スタッフが出勤するころには、外は完全に嵐状態だった。この時点で学校は休校が決まる。バスや列車は完全にストップしている。そして停電となる。 幸い私の診療所では、停電になると自動的に照明が着くのでまっくら闇になることはない。5〜10分くらい様子を見るがどうにもならない。数年前までは、わが町にも電力会社の営業所があったが、廃止され大きな町の支店と統合になった。そこへ電話をかけてみても、まず大きな町が優先のようでまったく復旧のメドはたっていないそうだ。 そこで防災用のグッズを持ち出す。電池式ランタンを出し少しでも明るくする。トランジスターラジオを3台持ち出し、1台は待合室、2台は診療室に置く。このコラムでも時々登場した往診用の椅子を置く。不幸なことにユニットは朝の準備中で、目いっぱい高さを上げた段階で停電したので、そのユニットは使用不能になってしまった。エンジンは電池式の物を利用した。 「この嵐だから患者さまは来ないだろう」と思っていたら、バスがストップして来られない方が1人いた以外は、全員がいらっしゃった。これには正直いってびっくりした。診療を始めて1時間すると、だんだんとバックアップのライトが消えていった。まさかバッテリーが1時間程度しか効かないとは聞いていなかった。 昼ごろ遅番のスタッフが来る。なんでも弁当屋が「ご飯が炊けない」とのことで、開店休業の状態だったそうだ。私の所は地震対策で電気式のクッキングヒーターを使っているので使用不能である。非常用にガス台が3つあるのでこれで湯を沸かし、防災用にとっておいたカップラーメンを食べる。私のところではそれからまもなくして電気が復旧した。 今回の台風は風が猛威を振るった。北海道の家は元来雪と防寒に重きを置いて作られている。そのため多くの屋根や街路樹が吹き飛ばされた。またかつて無い規模の停電が起きた。私の街では約半分の世帯がそのまま翌日まで停電になった。 この停電が、意外なことで生活に影響を及ぼしてきた。実はシャッターが停電で開かなくなったのである。これによってシャッターが開かず、トラックが出せなくなり弁当や食料品が配送できなくなってしまった。また倉庫から商品を出せなくなったところもあった。私の知合いの建設会社の社長は、被災地の見回りに車庫が開かないためにいけなくなった。停電が数時間ですんだからいいものの、実は私も防災用品の相当部分を車庫の中に入れておいていたのだ。(当然取り出せなくなってしまった。)「防犯に有効」とされて急速に広まった電動シャッターも、意外なところに落とし穴があるのに気づかなかった。 私の診療所を含めて、停電対策にこれがあれば便利と痛感したことを列挙しておく。参考にしていただければ幸いである。
私の診療所では午後から平常通り診療ができた。あれほど大騒ぎしていた台風も、夕方にはきれいな快晴の秋晴となった。ところがこんどは、患者さまから大量の予約キャンセルがきた。世の中はなかなか思った通りにならないものである。しかし冬などで氷点下10〜20になって、電気が止まり暖房が止まったら、どうしようかとついつい思ってしまった。以前は停電時でも使えるストーブがあったが、今はない。ポット式のストーブが数台あるが、設計士の話によると酸欠が心配なので使わないでほしいそうだ。なかなか難しい問題である。 |
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| <2005.3.4> |
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