先日のある金曜日に根管治療をしていたら、どうも予後があまりよくないような状態の患者様がいらっしゃった。ひょっとして週末痛みが出るかもしれないので、「もし痛みがでたら今度の土・日は休みですが、休日でもけっこうですから連絡をしてください。」とアドバイスした。私は「まあ概ね痛みは出ないと思うが、でたら可哀そうだからできるだけ有効な処置をとった」つもりで患者様に言ったのである。しかし患者様はそうはとらなかった。いきなり「私の歯ってそんなに悪いのですか?」と言い放った。
こういうことはよく考えてみると結構ある。ある産婦人科では当直の先生がすぐに対応できるようにと、先生の当直室を病棟内に作った。なにかあったら先生がすぐに対応できるようにとの配慮だった。しかもその先生は看護師まかせにしないで、積極的に病棟に出たそうだ。ところが入院している妊婦さんは、これを病院側や先生の熱意ととらなかった。「先生がすぐに来るのだからきっと私は悪いのだろう?」と思い、総合病院に転院する妊婦が相次いだそうだ。
これだけではない。ある歯科向けの雑誌に「よい歯科医院の条件!」なる項目に「急患の患者様でも待たせないで対応できていますか?」というものがあった。つまり、「予約診療しているからといって急患をあまり待たせないで診療しましょう」ということだと思う。私の診療所ではミーティングを開き、極力急患の患者様を待たせないようなシステムを作り、それなりに好評を博した。その結果、予約をしないで急に来院する患者様が大幅に増えた。しかも再初診の患者様中心に増えてしまった。おそらく急患の患者様の対応のスムーズさ?(少し手前ミソ)を見て、予約をとって来院するのが面倒になったのかもしれない。
さらにこの雑誌の「よい歯科医院の条件!」なる項目のなかに、「急に雨が降った場合に貸し傘がありますか?」という項目も、私の診療所ではウラ目にでてしまった。もとから人から「借りたもの・貸したもの」がアバウトである土地柄のせいもあって、傘を貸したら返さない患者様が続出、半年もしないうちに用意しておいた10本の傘は1本もなくなってしまった。そして傘を貸したままになった患者様は、だれ1人として再来院していない。まさに「傘と共に去りぬ」で、患者様を減らすために投資をしたようなかっこうである。世の中はなかなかうまくはいかないのである。
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