僻地に生きる歯科医
金が仇の世の中なれど(その1)
ネの話で恐縮であるが、最近カネの話でイヤな思いを何回かした。「先生、お金がないので子供の治療を中止します。」という電話があった。このような電話は今までマレにあったが、去年の年末には4人も立続けにあった。このような場合は「お金がない」というのが中断の本当の理由ではないことが多い。その証拠に「お金はあとでもいいですよ」とか、「特別にタダで診療しますよ」といっても中断の意思はかわらない。たとえ予約をとっても、ほとんどは無断キャンセルとなってしまう。


もひとつ不思議なことがある。このような親は、私の診療に不満を持っていて転医したかと思っていたが、そうでもないのである。というのはほとんどの場合、他院へ転医した形跡がないのである。しかも後になってひょっこりやってきたり、なかには診療を中断した親から紹介されてきた患者さまも1人や2人ではない。結局訳がわからないのである。

かし最近増えているのが、補綴物を入れてお金を借りてそのまま逃げてしまう人である。このような人は始めから踏み倒すつもりで受診する場合が多いので気合が入っている。準備も周到で電話をかけても留守電になっているし、電話番号を非通知にすると繋がらないようになっている。しかしウチのスタッフもプロで、このような人は初診のさいにあらかた予想はつくそうだ。そこで近所の公衆電話からかけると、ほとんど全員が「あす払います。」と言うが翌日来たためしがほとんどない。再度電話するとまた「あす払います。」と宣言し同じことを繰り返す。でもある日、本当に払いに来た人がいらっしゃった。ウチのスタッフは逆に驚いてしまった。

が最近増えてきたのが保険証を持たないで受診して、その治療費を踏み倒すケースである。特に閉院直前とか休日が危ない。電話で「保険証を持っていますね」と確認すると「はい、持っています」と答えるが、イザ来院してみると持っていない。理由は様々だがほとんどの人が「先生を待たせてはいけないと思って一刻でも早く来ようとしたら、慌てて保険証を置いてきてしまった」そうだ。なかには「保険証を年寄りが持っていってない」そうだなどと言う人もいる。でもそこの町は保険証をカード化して1人1枚になっているのである。つまり保険証を持っていないからわからないのである。このような人は全部ではないが相当高い確率で、「財布もあわてて忘れてしまっている」人が多い。

もこのような人でも「本人確認のために運転免許証をお願いします。」というと、ほとんど全員がもっている。こうなるとほとんど確信犯的な臭いがする。私もちょっと茶目っ気を出して当院ではクレジットカードを使えないということを間接的に教えると、「残念ですねカードで払いたかったんですけれど」などという人もいる。しかし歯科診療所を受診する時に保険証と財布を忘れ、運転免許証とクレジットカードを持ってくる確率はどのくらいあるのだろうか?これは立派な犯罪の臭いがすると思うのは私だけだろうか?
<2004.11.4>

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