僻地に生きる歯科医
リーダーの条件

日ある患者さまから「先生に話があります」と電話があった。話といっても特に身におぼえがなく「何だろう?」と思って面会すると、なんと「町議会議員に立候補しませんか?」であった。

部では町議会議員といえば文字どおり地区のリーダーであることが多い。都会の様に「市民の代表」とか「無党派のリーダー」などのように世の中が変わるとと跡形もなくなってしまうような人たちと根本的に違う。つまり、彼らは地域の利益代表でもある。何せ、役所は「当地の最大の企業」なのである。選挙はその大企業の役員の改選と同じような意味を持つので、地域を挙げての戦いになる。

一地方選挙が近づくと患者さまの間でもソワソワした感じがする。始めのうちは仲良くやっていても最後は泥仕合になるので、医療人として中立公平を保つのは非常に難しい。

は変わって、ここのところ歯科医師会のリーダーにも変化があった。歯科医師会のリーダーもかつては学閥間で事前に話し合いができて、選挙は形式的な儀式にすぎなかった例が多かった。しかし、最近では自分のビジョンなどを電話や紙に書いて回ってくるようになった。私のようなものは「ここぞ」とばかりに、イロイロと言いたいことを言うが、その後実現したプロジェクトもあった。

ういうリーダーに巡り合うと幸せであるが、中には悲惨な例も少なくない。ある地区の新しいリーダーは常に長老たちの顔色を伺っていた。特に前のリーダーにはべったりで、総会で決めることは全て事前に長老たちの了解をとっている。そんなわけだから、意見をいうものなら「君以外の長老の先生は賛成しているのにどうして反対するんだ?」などと脅迫じみた言葉などを若い先生などには平気で言ったりする。

近もその若いリーダーの事務上のミスで行政上支障が出る事態になった。それなのに、その若いリーダーは私に尻拭い要請するところか長老たちに私を説得するように頼み込み、とうとう私の父の所までやってきた。私は正直言って不愉快であったが、長老に頭を下げられると成す術もない。

くマスコミなどでは、高齢者のリーダーを嫌い、中には「老害」などという評論家もいる。しかし、若ければ良いというわけではないが、どういうわけかリーダーとして未熟な若い人にはマスコミは寛容であるのは不思議なことだ。いずれにせよ、自分の器の大きさを分からない人間がリーダーになることはその人にとっても不幸なことであるが、それに気づかないのはさらに不幸なことである。
<2004.7.7>

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