「年末はいつまで診療をしていますか?」クリスマスを過ぎたころからこういった電話がポツポツとかかってきだす。私の診療所では以前は大晦日まで診療をしていた。というのは出稼ぎの方が帰省した際、リコールや治療を受けるためであった。かつては御用納めが済んでからは1日平均20件程度の初診が大晦日まで続いたこともあった。そして紅白歌合戦を聞きながら技工をするのが当たり前の年末の風景であった。
ところが当地でも産業構造が変化し無理に出稼ぎをしなくても食べていけるシステムができたうえに、第一不景気で出稼ぎ者自体が最盛期の1/10にも満たなくなった。しかも帰省も年々減少する傾向にあり、代わって家族が上京することが多くなった。(浦安にある巨大なテーマパークの影響が相当あると役所の専門家は指摘するのだが…)そういうわけだからとうとう平成8年には出稼ぎ者の受診がゼロになってしまった。
出稼ぎ者がゼロになっても予約の患者さんがいらっしゃるので当面は大晦日まで診療を続けようかと思ったのだが、困ったことがここ数年おきてきた。無断キャンセルや変更が非常に多いのである。年末が忙しいのはわかっているが、ひどい時には午前中の患者さんの80%が来なかったことがあった。当然スタッフは手持ち無沙汰であるが、年の〆にだらけた状態で終えるのは診療所の士気にもかかわる問題なので色々と対策をとったつもりではあったが、患者さまの御都合の前には成す術がなかった。私の経験ではこういったタガが緩んだ時にえてして医療事故はおきるもので、非常に不安を感じたことがここ数年続いた。
ずいぶん悩んだつもりであったがとうとう私は数年前より仕事納めの前後で診療所を閉めることにした。もうすこしみなさんの理解がえられれば今後も大晦日まで診療をしたいのではあるが…
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