僻地に生きる歯科医
ネームバリュー

さんの診療所には必ず名前がついていると思う。しかし診療所の名前のつけ方によっては無用のいさかいが起こることも少なくない。先日ある大きな都市のスーパ−マーケットへ行ったが、そこのテナントとして入っている歯科診療所の前に、ある国立大学歯学部の絵とその下には「◎×大学歯学部」と筆字で麗々しくかかげられていた。当時は先生の出身校を院外に表示するのはもってのほかで、この出身校の絵を掲げるとは「敵ながらあっぱれ!」という思いがした。ところがここの先生はこの国立大学歯学部とはまったく関係がないそうだ。

たある都市には、○△大◇◎歯科という歯科診療所がある。ここの先生もこの大学とは一切関係がないそうだ。当然のことながら名前を使われた大学のOB会などは抗議をしたらしいが、反対に「何が問題なのでしょうかと?」開き直ったそうだ。後で漏れ聞いた話によると、そこの患者さんたちはほとんどが表示された大学出身であると思っているそうだ。歯科材料店の話によるとやはり近所の歯科診療所より流行っているとのことであった。

れは極端な例ではあるが、小さいトラブルはどこにでもある。よくあるのは新規で開業するのに、開業地の自治体名を冠した名前にすることだ。これは特に長老と呼ばれる先生たちと無用なトラブルを引き起こす。また、「◎○中央歯科クリニック」などとつけると若手と呼ばれる先生方よりヒンシュクをかってしまう。私の近辺でも御丁寧に「市町村名+中央歯科クリニック」開業予定地などと大々的に看板をあげてしまったために地元の歯科医師会の先生方から「質問状」が開業準備室に送られてきて慌てて看板を下ろした事件があった。

れと似たようなことはずいぶん前からあった。別の大学を出て地元の大学の聴講生になって、あたかも地元の大学出身というふれこみにしている先生もいる。名前を使われた地元の大学もしたたかでこういった先生に賛助費などと称して色々たかったりすることも一部ではあると漏れ聞いている。

かしこうした別の大学の名前をかたったり、あたかも自分の診療所がその地域で古くから開業していたり、中心的な存在であるかのような名前をつけようとする発想の先生に一体地域のためになにができようかと思ってしまう。しかしこういった歯科診療所へも患者さんは行っている訳でこれらの問題は単に歯科医師のモラルだけでは片づけられない問題があるような気がした。
<2002.10.4>

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