新・健康ダイヤル
Vol.14-2002.8・9

新学習要領スタート
東京都 中学校養護教諭 Y・K

授業から「口腔衛生」が消える?

◆「ゆとりの教育」!?

育の世界に関わっていない人々にとって、「学習指導要領が変わる」と言われても良く分からないのではないでしようか?そこでちょっと「学習指導要領」とは?を簡単に説明してみます。
   
  “全国どこで教育を受けても、一定の水準の教育を受けられるようにするため、それぞれの学校がカリキュラムを編成する基準=スタンダードとして「学習指導要領」がある。”

それが今年4月、およそ10年ぶりに改定され、「新学習指導要領」がスタートしました。その内容は次のように、大きく6つ柱が取り上げられております。
  1. "生きる力"のある子どもたちが誕生します。
  2. 完全学校週5日制になります。
  3. 教育内容を厳選します。
  4. 「総合的な学習の時間」が始まります。
  5. 中学校・高等学校では選択学習の幅を拡大します。
  6. 新しい学習指導要領のねらいを実現する「評価」が生まれます。
   
2002年度の一学期が終了しましたが、教育現場においては、「授業内容」「授業時間」「評価」など、全ての面において大きな変化があり、変化に対応して教育活動を進めていくのに、正直に言って「オオワラワ」と言った感じです。そんな中で保健学習や保健指導を続けていくのも、一仕事です。わたしも例年6月の「歯の衛生週間」とリンクさせて、歯科校医と一年生対象の「歯科講話」を行ってまいりましたが、土曜日授業の喪失を機に授業時間確保が難しくなり、今年度はまだ実施できない状態となっております。「必要であるから続けてきた」のですから、なんとか授業時数を確保して続けていきたいと思っています。

◆「口腔衛生」の記述を拠り所に

述した通り、学習指導要領は学校がカリキュラムを編成する基準(最低基準)です。この基準を拠り所に学習の必要性をアピールしていかなければならないのですが、「歯科保健学習」を続けていくためにも、学習指導要領に「記述されている」ことが必要となってくるのです。

こで、今回新しくなった「新学習指導要領」には、「口腔衛生」関係の学習の記述はどの程度入っているのでしょうか?実は具体的に「口腔衛生」の文字が入った記述は、ほとんどありませんでした。唯一あったのは、小学校5、6年生の保健の内容でした。
   
  (抜粋)G 保健(3)「病気の予防」 病気の予防について理解できるようにする。
  1. 省略
  2. 省略
  3. 生活習慣病など生活行動が主な要因となって起こる病気の予防には、栄養の偏りのない食事や口腔の衛生など、望ましい生活習慣を身につけることが必要であること。…省略
   
全学校週5日制にともない、授業時数の確保が難しくなってまいりましたが、「保健学習」の内容にまだ「口腔衛生」の記述があることを拠り所に、上手に歯科保健指導・学習を行っていくことが、今後の課題になってくるでしょう。また、個々の指導を学校での集団学習で行うのはますます難しくなり、自己管理にゆだねられるようになっていくのではないかと思います。

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