新・健康ダイヤル 新 健康ダイヤル
Vol.11-2002.3

姿勢を正す
ウェルネスアドバイザー 八雲 ゆき

? 「皆さんは普段どんな立ち方をしていますか?」
そう言われても座ったままでは思い出せない人も多いかもしれませんね。そのぐらい「立つ」ということは私達にとって当たり前なことになっています。しかし「立ち方」は、私達の健康や印象を決める大切なモノ。今回は改めて無意識になっている「立ち方」を、基本から見直していきましょう。

? では実際に、「正しい姿勢にするには、どうすればいいのでしょうか?」
 姿勢を正すには、まず基本になっている骨組みを考えることが大切です。建築物を建てるときに骨組みが大切なように、人間が立つときにも骨組みが最も重要です。
 どのような骨組で立つのが良いかというと、傾かず垂直な骨格で立てることが大切です。反対に悪いのは骨格が傾いていること。建築に置き換えて、主柱が傾いていると考えれば、その悪影響についてお分かり頂けるのではないでしょうか。人の場合、傾いている側の筋肉に、常に余計な緊張を引き起こすことになってしまいます。考えただけでしんどうそうな状態なのですが、多くの人がバランス良く立つことより、余分な力をあちこち使って立っています。私達の身体は、なかなか傾いていることに気づきにくいのです。

! では実際にやってみましょう。両足を肩幅ぐらいに開き、余分な力を出来るだけ抜いて楽に立ちます。次に、足の母指球(親指の付け根)に重心(体の重み)を持っていきます。重心を母子球に乗せると、太股の前側や体の前面に力が入ってしまいます。(→)それから、次は重心を少しずつ母子球から後ろの方に移していきます。すると段々前の太腿の力が抜けて楽に立てるポジションが見つかります。(→)さらに重心を踵の方へ下げていくと、また全身に力みが起こります。(→)
両足裏の図 さて、どこが良いポジションかすでにお分かりですね。つまり、前にいきすぎず、後ろに下がりすぎない身体の力が抜ける()が、正しい姿勢で立てるところです。
 身体の動きとメカニズムを研究している運動科学研究所の高岡氏の分析では、骨格上最も身体の力が抜けバランス良く立てるのは、重心が内くるぶしの真下にきた所だそうです。
 また、母子球で支える前に傾く立ち方()だと、前ももが太くなり、体のバランスが崩れ腰痛などを引き起こす原因にもなります。前の太腿が太くなるバレリーナはこのタイプに当たります。逆に、内くるぶしの下に重心をおく正しい立ち方()ができると、脚の前後の筋肉や腹筋と背筋のバランスがよくなり、長時間楽に気持ち良く立てるようになってきます。イチロー選手の高いパフォーマンスも、この優れたバランス感覚を持つ姿勢に支えられているのです。
 正しい姿勢を身につける早道は、気がついたら何度も実践すること。仕事の気分転換に、電車の待ち時間にスッと姿勢を正してはいかがでしょう。きっと身も心も、気持ちよく引き締まることと思います。
立ち姿が美しくなるのは勿論ですが、身体も中身も気持ちよい骨組みに支えられるため、内臓等の調子も整い、女性からは脚も細く引き締まると評判です。

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