Vol.7-2001.8・9 |
東京都 中学校養護教諭 Y・K
|
4月から続いていた平成13年度定期健康診断がやっと終了し「ホッ」としたのも束の間、今度は検診結果の集計をする日々へと突入してしまいました。“言うは簡単、やるは難し・・・”確かに生徒全員の口の中を見て「ずーっと斜線4がC…」などなど、しゃべりっぱなしの学校医の先生もとても大変なのですが、数百人の生徒の現在歯、処置歯、う歯、歯肉の状態他諸々の記号を読みとり、全体の集計をする養護教諭も大変です。永久歯と乳歯が入り乱れていたりすると…。言葉もありません。「えっ?この子いったい歯が何本あるの?」といった状態です。 もちろんこの事ばかりをやっていられるならまだいいのですが、その間にも、やれ「擦りむいた」「腹がいたい」「気持ちわるい…」と子ども達は次々にやってきます。「もー、またわからなくなっちゃった…。数なんかもういいじゃない!!」と思う事もしばしばなのですが、やはりやった事の後始末をしないワケにもいかず、今日もせっせと集計作業に精を出してきました。 ◆歯垢がついている そこで今年、妙に多かった我が校の検診結果の症状。「1…、また1…。次も1…。えっ?ずっーと1?」 実はこれは歯垢の判定結果です。 平成7年度から児童生徒の健康問題の変化、医療技術の進歩、地域における保健医療の状況の変化等を踏まえて歯・口を含めた健康診断の内容・方法等が大きく改正されていて、その中の「歯周疾患の診断」 1.歯垢の状態、歯肉の状態をそれぞれの欄に、3段階(0,1,2)に区分して記入すること。 歯垢の状態〔付着状態についての診査〕 0.ほとんど歯垢の付着なし 1.若干の付着あり 2.相当の付着がある。 を集計していた時の結果です。「この1の多さは何?」 そこで集計ついでに統計をとってみると全校のおよそ60%弱が1もしくは2でした。「…これはもしかして歯科検診だというのに、歯のブラッシングをして来ていないの?年に一度の検診で、前日にあれほど歯磨きをするように言ったのに…。」この数字を見て一気に肩が落ちてしまったのですが、いや!でもこの考えは間違っていますね。“歯科検診があるから特別に朝、歯のブラッシングをしてきて欲しい”のではなく“生活習慣の中で、正しい歯のブラッシング法を身につける事”が学習課題なのだから、ここは、毎年歯科講話を行っているにもかかわらず、それを定着できなかった事を反省すべきなのでしょう。 平成7年の改定の際に出された課題でも、 まず、生涯にわたる健康増進のための歯・口の健康づくりのための基本的な生活習慣、例えば歯・口の清掃や望ましい間食の取り方などを身につけたり、自分で歯・口の健康課題を見つけ、課題解決を図ったりするなど児童生徒自らが積極的に歯・口の健康づくりに取り組めるような能力や態度を育成することが課題となります。 と書いてあります。 ◆「今年の健診課題」は? 歯科検診の後の定番文句に「むし歯はほうっておいても治りません。歯医者さんに行って治してもらいましょう」というのがあります。歯・口の健康についての取り組みは、う歯の治療は生徒だけの力では何ともならないし、歯周疾患やCo(要観察歯)はブラッシング等で治そうとしても、生徒だけでは治ったかどうかの自己判断がとても難しく、結果がなかなか出にくいため、取り組みは個人ではなく集団の保健指導が必要となります。 そこでこの歯垢を取る試みならどうでしょう? ・歯垢をとるためにブラッシングの工夫ができる。 ・歯垢付着のあるなしなら、自己判断ができる。 と考えられます。 歯科検診の結果から今年の健康課題をみつけ、納得のいくデータを提供し、生徒自身に現在の健康課題を自覚させること。そして生徒が取り組みやすい行動を見つける手助けをすること。できればその結果がわかりやすいこと。養護教諭の行う保健指導は日々の生活の中で行える指導が主です。「歯垢についての取り組み」はその課題としてふさわしいと考えました。 今年のテーマは「歯垢を落とすブラッシング」でいこうと思います。 |
INDEX |