Vol.6-2001.7

栄養士 高橋富士子


 子どもの日々の発達は、1日でみると「それほどではない」と感じます。しかし、学期や年度と大きなスパンでみると、心身共に大きな変化が見られます。その成長期にあなた自身が戻ったと仮定して、振り返ってみましょう。小学校に入学したとき、2年生の時、遊んだこと、勉強のこと、友だちのこと…。さてあなたの頭の中に健康についてどのようなことが浮かんできたでしょうか。病気をして熱が出たこと、虫歯になって痛かったという記憶を思い起こすことはできても、自分の健康を守るためにどういうことに心掛け、どういう物を食べ、どう行動したかを覚えている人は少ないでしょう。少し頭が痛いとか、健康に対する疑問が浮かんだとしても、「遊びにいこうよ」と誘われればきえてしまう。しかし、「けがをしたとき、○○先生が私の体を気遣ってこんなこと言ってくれたっけな」くらいは覚えているかもしれません。

健康に対する疑問が浮かんだときに消さない方法
 どこの栄養士も養護教諭も子どもたちの健やかな成長を願って、健康に対する知識を個人個人の生活レベルに応じて、記憶の中に楔を打つがごとく指導したいと望んでいます。そんな方法があればと誰もが考えます。間接的に「お便り」を通じて指導する、これも一つの方法ではありますが、ランドセルの奥底にくしゃくしゃになって親の目に触れなければ意味がなくなってしまいます。ではどうしたら良いのでしょう。まず1つ目はインパクトのある記憶とすること、2つ目は何かの記憶と共に一緒に記憶する、3つ目は何度も繰り返し気にかかる情報がいつでも目に入る状態にすること、これらは全て子どもに直接見(魅)せることだと考えています。
 学校ではこんな取り組みをしています。
1. 健康のことは養護教諭、栄養のことは栄養士、直接関わった大人がきちんと話すことが子どもの心にダイレクトに伝わります。更にインパクトがあるのは、学校の外のスペシャリストの言葉「歯のこと」は歯医者さん、「交通安全」はお巡りさんです。ボランティアではありますが未来を支える子どもに直接言葉を掛けたいですね。
2. 学校によって、ランチルームという施設があるところがあります。食べること・おいしさ・そして栄養や体のことの話・調理の苦労話をお話します。子どものまっすぐな瞳と「とりあえずここにきたときは残さず食べるぞ」という子どもたちの意気込みがうれしい一時です。
3. 子どもに教えたい情報は写真を交えたりイラストを添えたり壁新聞を作ります。よく「○○ニュース」というたくさんの情報を掲載した学校向けの壁新聞があります。しかし良い情報もありますが、子どもの視点からずれている内容もあります。
 本当に伝えたいこと、子どもが知りたいことを見据えて、いつも見えるところに情報を発信したいですね。



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