味彩通信
Vol.51-2005.7
いってきました中国「アカシアの大連」

「反日デモ」のニュースがまだ生々しい5月の後半に、中国へ行ってきました。今回まわったのは、東北部の大連・審陽・ハルピンの3都市と北京です。「大連のアカシヤ祭」の響きにひかれての1週間ばかりの旅でした。

■大連・海の幸に舌鼓

 まずは快晴の日本海をぬけて港町大連へ。日本海という良い漁場を控えた大連は、さすがシーフードの種類も豊富でおいしかった。「干しなまこ」の炒め物は「ぷるぷるお肌」のために、と中国でも近頃人気が出てきているとか。なまこを「岩手からも輸出しよう」ということになったが養殖技術がまだ確立していないらしい。三陸特産の「きっぴん」(干しアワビ)同様中華料理の御用達になれるか興味津々である。
 ウニがたっぷりと乗った茶碗蒸もなかなかのものだった。他にも、ホタテ・エビ・ツブ貝・カニ・とシンプルな味付けで素材のおいしさを際立たせる料理が多く、堪能した。
 大連の「アカシヤ祭」の開会式に参加したのだが、残念なことに肝心のアカシヤの花はほんのチラッとだけ咲いている状態だった。日本の桜同様、今年の冬が長かったせいで例年より1週間から10日ほど遅れて開花、の予想。街路樹の古木は葉っぱだけが青々として涼しげだった。

■瀋陽のアーケードで

 審陽へは鉄道で移動、「旧満州鉄道のこの先はシベリヤ鉄道か」なんて思ったりした。私の住んでいる水沢市出身の政治家、後藤新平は満州鉄道の初代総裁、「大風呂敷」と呼ばれたスケールの大きな施策を次々と実行した人物である。
 その審陽では「大陸的」で豪快な雷雨にみまわれ、次のハルピン行きの飛行機に遅れが出た。待ち時間を利用して「回族」(イスラム教の民族)の市場を覗いた。50mばかりのアーケードには主に肉屋が多く軒を並べている。牛肉と羊の肉・内臓・頭…。色々な種類のハム・ソーセージ。アーケードのはずれでは、戸板の上で「烏骨鶏」をさばいていた。

■芳醇な甘みと酸味のライチ

 果物売りも戸板の上に小さな桃、すいか、プラムなどを並べて売っている。ライチもあった!楊貴妃が愛したその果物は中国の南の地方でとれたものであろう。皮がやや青みがかっていて日本で見かけるものに比べると少しとがった形だった。500gで7人民元(98円)だというので買ってみる。
 その場で1個皮をむいて食べてみた。口中甘味と酸味でいっぱいになる。日本で食べるものは「ほんのり甘い」と言った感じなのに対して、これはなんともしっかりとした味と香をもっている。清楚なのにちゃ〜んと自己主張できるパワーがある。おいしかった。
少しずつ食べながら持ち歩いたら、最終日北京で「カビ」を発見、大切に取っておいたので悲しかった。

アスパラのジュー
及川喜久子

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