味彩通信
Vol.40-2004.6
遠野ふるさと紀行

 先日の連休に、岩手県・遠野を訪ねました。
 遠野は母が生まれ育ったところで、子どもの頃は夏休みになるたびに出かけたものでしたが、祖父母が亡くなってからは、すっかりご無沙汰。約10年ぶりの帰郷です。

 東京では新緑の季節を迎え、そろそろセーターやコート類はクリーニングへ出しちゃおっかなぁ、という頃なのに、遠野ではちょうど桜が満開。おまけに着いた日の夜半からは雪模様。まさに北国の春といった風情です。

 翌日はまずお墓に向かい、ご先祖様に手を合わせてから、懐かしい近所のおじさん、おばさんにご挨拶。「おめさんがた来るってから、くるみもちこさえてたよお」。

 お国訛りも懐かしく、そしてそう、この味この味。ぽってりつきたてのおもちに、よ〜くすったくるみをからませたこのひと品は、甘みの中にほんのり塩けが効いていて、小さい頃から私の大好物。「わ〜い!」と子どもに帰ってはしゃいだ途端、蘇るのは味の記憶。

 孫が喜ぶからと、おばあちゃんが張り切って大きな樽に仕込んでいたきゅうりの漬物、三陸のぷっくり太ったホヤに塩ウニ、としろ(あわびの肝)の刺身。そして忘れてはならないのがジンギスカン。

 ジンギスカンというと北海道をイメージされる方も多いでしょうが、実はコレ、昔から遠野ではとてもポピュラーな味。爽やかな夏風が吹き渡る庭にむしろを敷いて、七輪に炭をおこし、ジュージュー焼きながら食べたラムのおいしかったこと!あ〜、思い出したら、久しぶりに食べたくなっちゃった!

 というわけで、ホテルのフロントで聞き込んだ、人気のジンギスカン専門店へいそいそ。もちろんたっぷりジンギスカンを堪能したのですが、肉があまりにもおいしくて、思わず併設の肉屋さんからラムチョップを東京に発送してしまった私。

 とはいえ東京の狭いマンションの中では、煙もうもうになるジンギスカンは無理。そこでカレー風味のヨーグルトマリネのオーブン焼きを作ってみました。作り方はいたって簡単、レシピは以下のとおり。ラムチョップはそれはそれは柔らかく、スパイシーな夏のごちそうになります。
 ちなみに、羊肉(マトン)とラム肉は魚肉並みの低コレステロールで、さらに脂肪を燃焼させる物質=カルニチンが多量に含まれているとか。最近ではモデルさん御用達のお肉とも言われています。

 う〜む、おいしいだけじゃなかったのね。ありがたきかなふるさとの味
佐伯明子

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