味彩通信
Vol.13-1999.4
 日本列島各地に桜の花便りが聞かれる季節となりました。私たち日本人には「春は花、秋は月」と季節ごとに生活を楽しむ習慣があります。特に桜は「お花見」という言葉があるくらい日本人にとって親しみ深い花で、私も開花シーズンになると心がウキウキしてきます。しかし今年は「花より団子」。花便りより一足お先に、タンゴのリズムに乗って「だんご3兄弟」が日本列島を駆け廻っています。今月は今大ブームの団子についてお話し致します。

団子の名の由来は色々あり、1つは、奈良時代に入ってきた「唐菓子」の団喜や団子(だんす) からきている説。また「団」には集める、丸いという意味があり、粉を集めて作ることから団粉 (今の団子)という説もあります。呼び名も地方によって変わり、江戸時代の※女房詞では、 「いしいし」と呼ばれていました。

※女房詞とは

室町時代初期の頃から、宮中奉仕の女官が主に衣食住に関する事物について用いた、一種の隠語的表現。 今も残っているものでは「おはぎ」(萩の花からきています。)季節により春は「ぼた餅」 (牡丹の花に見立て)といいます。

「男はつらいよ」の寅さんで有名な草団子の高木屋、正岡子規の歌にも登場した根岸(東京) の羽二重団子、黍(キビ)の粉で作った岡山名産のきび団子など江戸時代に団子が大衆化し、 形状も丸める・切る・串にさすなど様々で、串にさす団子の数など各店独自に発展したそうです。 また既にこの頃には、だんごを飾ってお月見を楽しんでいたそうです。

だんご:上新粉40g、白玉粉10g、ぬるま湯40cc
タ レ:醤油大さじ1/3、砂糖5g、水10cc、
片栗粉小さじ1/3
(餡団子の時は市販のこしあん)

<作り方>
  1. 白玉粉をボウルに入れ、1/3量のぬるま湯を入れ溶かす。そこに上新粉と残りのぬるま湯を加えて手でもむようにして耳たぶより少し柔らかいくらいにまとめる。
  2. 濡れ布巾を敷いた蒸し器に一握りずつちぎって並べ、強火で20〜25分蒸す。
  3. 蒸し上がりをボウルに移し、濡れ布巾を手に巻いて熱いうちにつき、なめらかにして団子の大きさに丸める。
  4. 水で濡らした竹串に団子を(3〜5個ずつ)さし金網で両面に焼き目をつける。
  5. 醤油、砂糖、水を煮詰めて、最後に水溶き片栗粉を入れとろみが付いたら火から下ろす。
  6. (4)に(5)のタレをからめる。
    ※こしあんはお湯で少しのばしてゆるくしてから、焼かないだんごの上にのせる。
団子といえば「みたらし団子」。起源は京都市左京区の下加茂神社の葵祭りやみたらし祭の時に 神饌菓子として氏子が家々で作り、後に神社近辺の茶屋で売られたものといわれます。 長い竹串に団子を5つさしてありますが、1番先の団子は他の4つと離してあります。 これは後醍醐天皇が境内にある御手洗池で水をすくったとき、最初に1つの泡、 続いて4つの泡が出たので、厄除けのため頭と手足体に分けてて神前に供え、 祈った後に家で食べた事からといわれています。昔だんごは5兄弟。最近は歌にあやかり、 わざわざ3兄弟にしている店もあり、だんごにも少子化現象!?が起こっています。

*参考文献:講談社「365日 今日か何の日か? 辞典」、ホームページ「虎屋と和菓子のお話」、「銘菓探訪」


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